リカレント教育の市場規模とは?注目される理由や支援対策から考える

リカレント教育

リカレント教育とは、学業を終えた後に各々のタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けることです。

ただ、どんな理由でリカレント教育が注目されているのか、どのくらいの市場規模があるのか気になるという人もいるでしょう。

そこで今回は、リカレント教育の市場概況について詳しく解説します。リカレント教育の市場規模や必要性が理解できるほか、さまざまな支援対策についても知ることができます。

リカレント教育が注目される3つの理由とは?

リカレント教育が注目されている点について、いくつかの理由があります。

まず本章では、リカレント教育が注目される3つの理由について、それぞれ具体的に解説します。

時代に合った知識・スキル習得の必要性が強まっているから

まず、社会全体が大きな変化のさなかにあることがリカレント教育の注目度に大きな影響をもたらしています。

少子高齢化の加速により働き手が減り、定年後の再雇用のように労働が長期化する傾向が拡大しています。「人生100年時代」という言葉も頻繁に取り沙汰されるようになってきました。

時代の流れに伴って新たな技術が次々に登場しているため、キャリアアップやキャリアチェンジをして長く働き続けるためには、情勢の変化に合わせた学び直しが不可欠であるといえます。

技術の進化のスピードも年々速まっているため、時代に取り残されることなく、自分自身を高め続ける姿勢がビジネスシーンにおいて重要視されているのです。

企業がジョブ型の雇用や人材育成へ移行しつつあるから

終身雇用・年功序列・企業別労働組合の3つの制度の総称である「日本型雇用」が従来は一般的でしたが、この体制はもはや崩れつつあります。

日本型雇用ではなく、「ジョブ型雇用」への移行を目指している企業が増えています。

ジョブ型雇用とは、職務内容などの採用条件を明確に決めて雇用契約を結び、労働時間ではなく職務や役割を評価する雇用システムです。

つまり、企業がジョブ型の雇用や人材育成へシフトすることにより、労働者自身もスキルアップへの意識が自然と高まっていきます。

着実に知識やスキルを高めた人材は企業にとっても利益をもたらすため、より重宝されやすいでしょう。

政府によるリカレント教育の拡充を進める動きがあるから

そもそも日本企業はほかの先進国企業と比べて人的投資が圧倒的に低く、国際競争力を高めるうえでも対策が急務でした。

経済産業省による日本企業のOJT以外の人材投資(GDP比)のデータ(2010年~2014年)を見ると、アメリカ2.08%、フランス1.78%に対し、日本は0.1%という非常に低い水準であることがわかります。

社外学習や自己啓発を行っていない人の割合(2019年)も、日本は46.3%とどの諸外国より高い数値でした。

リカレント教育はSDGsの17目標のうち、「4.質の高い教育をみんなに」「8.働きがいも経済成長も」と関連性が高いため、政府はより一層の拡充を図って動き始めています。

リカレント教育の市場概況

2021年度のリカレント教育市場規模は、前年度比7.1%増の467億円を見込んでいます。時代の変化に見合った知識・スキルを身につけることの必要性が年々高まっており、企業や政府の動きも加速しています。

コロナ禍の影響で大学によるプログラムの集客は苦戦が強いられましたが、その一方でIT系を中心に民間企業によるオンラインを活用したプログラムは好調です。

在宅時間が増えたことによるオンラインサービスの伸びは、リカレント教育市場においても良い影響をもたらしていることがわかります。

2022年度のリカレント教育市場規模については、前年度比4.9%増の490億円に上ることが予測されています。

労働者・企業・政府それぞれの動きが今後はより一層高まり、リカレント教育市場はさらに拡充していくことが期待できるでしょう。

リカレント教育を推進する支援対策


リカレント教育においては、労働者向けと企業向けの支援対策があります。本章では、それぞれの内容について具体的に解説します。

労働者向けの支援対策

労働者が主体的に継続しやすい学び直しを促すため、さまざまな支援対策があります。

教育訓練給付金」は、指定された講座を終了した場合に受講費用の一部を支給する制度です。支給割合は受講費用の20〜70%といわれています。

ほかにも、在職中にキャリア形成や学び直しについて相談できる「キャリアコンサルティング」や、希望する仕事に必要な職業スキルが無料で学べる「公的職業訓練(ハロートレーニング)」などがあります。

企業向けの支援対策

リカレント教育はあくまで労働者が主体的に取り組むものですが、職場における人材開発の抜本的な強化を図るため、企業向けの支援対策も充実しています。

従業員の職務訓練にかかる経費や制度導入経費などの助成が受けられる「人材開発支援助成金」、企業が生産性を向上させるために必要な知識などを習得する「生産性向上支援訓練」、定期的・総合的なキャリア支援の仕組みづくり「セルフ・キャリアドック」などがあります。

どの対策においても、多角的な視点で企業価値を高めていくための内容が含まれているのが特徴です。

時代の変化を見据えた学び直しが肝心

リカレント教育の認知度や注目度は高まり続けています。今後ますます不確実な社会状況において、企業や社会で求められるスキルはさらに変化していくことでしょう。

そのため、労働者が自身のキャリアプランを見直す傾向が強まる可能性があります。時代の変化に合わせて自分らしく仕事をするためにはスピーディーに行動に移すことが肝心です。

社会で長く活躍し続けるためにも、ぜひ主体的な学び直しに踏み出してみましょう。

   

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