【講義紹介】【環境学】松本卓也「逸脱から生まれる創造力」

講義紹介

本記事では、以下のYouTube動画を紹介します。

【環境学】松本卓也「逸脱から生まれる創造力」

ビジネスの世界でクリエイティビティを発揮するとは、どういうことか考えてみたいです。

スティーブ・ジョブズが「Think different」と言いましたが、異なる方法で考えることがキーワードになると思います。つまり、今当たり前になっている秩序によって、私たちの社会や仕事は窮屈なものになっています。そうすると、逸脱をどうするかが、ビジネスの世界でクリエイティブになることにつながると思います。創造性と秩序からの逸脱が関係しているとは、日常生活でもよく聞けます。例えば、「天才と狂気は紙一重」という言い方がありますが、これは古代ギリシアのプラトンの時代から哲学で言われてきたことです。

精神疾患は、病気の一形態ですが、精神医学が学問分野として成立してから、精神疾患の人がどのような創造性を持っているかが注目されてきました。これまでの領域である病跡学では、そういう病気と創造性の関係が議論されてきた歴史があります。確かに、秩序から見れば少しズレているものかもしれませんが、そのズレにはそれなりの価値があり、時にはイノベーションにつながったり、優れた芸術作品を生み出す原動力になることが知られています。

病の痕跡を探るという学問には、私もずっと興味を持ってきました。病気を一つのメタファーとして使っていますが、ただのメタファーと言ってしまうと、少し取り逃がされる点があると思っています。今となっては病気というのは脳の何かの異常とほとんどの人が考えています。しかし、哲学や思想が生み出されていた時代には、特に20世紀の後半の思想は、病気を脳に限定せず、その社会との関わりの中で考えてきました。

例えば、うつ病を考えてもらうと、その人の脳を研究すると何らかのトラブルがあることが明らかになります。だから、うつ病は脳の病気だと思う人が多くなりますが、身の回りのうつ病の方を見たら、労働環境や労働時間、仕事の内容、ハラスメントの問題などからうつになった人が非常に多いです。それは、脳の病気とだけ考えていては不十分で、社会の問題でもあります。

20世紀の後半の思想では、病気を単なる脳の病気としてだけ存在しているのではなく、社会、文化、歴史の兼ね合いの中で生じてきたものと考えられていました。その見方をする時に、病気と創造性を結びつけて語ることがもつ可能性が見えてきます。つまり、病気は脳の病気だからそれに対してレッテルを貼らないでくださいという議論ももっともですが、病気をただの病気ではないものとして解放することも可能です。

私が行った仕事は、哲学者たちがどう考えていたかを探るものでした。病跡学とは、作家や画家などを取り上げて、その人たちがどのような病気を持っていたかをカルテを発掘したり、日記や書簡集を見て、その人の病気を明らかにし、その人の病気が発病時にはどのような作品を書いていて、良くなっている時や再発している時の作品を通して、その人にとって病気がどういう役割を果たしたのかを研究するのが・・・

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