【講義紹介】【科学】藤垣裕子「科学技術と社会の往復運動」

講義紹介

本記事では、以下のYouTube動画を紹介します。

【科学】藤垣裕子「科学技術と社会の往復運動」

東日本大震災の時に、分野間の壁があり、それを超えて連携することがうまくできなかったという話は、みんなで反省してきました。それに似た問題として、2020年の4月にはコロナの問題が出てきました。当時、日本の社会は大混乱に陥り、行動規制をするかどうかということを議論しました。その時には、各分野の協働が必要になりました。例えば、ウイルス学の先生、感染症の先生、臨床の現場の医者、行動規制を考えるシミュレーションをしている専門家、経済活動を見ている専門家など、多くの専門家がいました。

初期の頃は感染症の専門家が中心になった専門家委員会でした。その先生たちとのコミュニケーションが重要でした。このCOVID-19の話は日本だけの問題ではなく、海外の様々な事例もありますので、それを比較検討しながら、日本の選択肢を選ぶことができるようになりました。意思決定ができるようになってきたと思います。エシカル、リーガル、ソーシャルインプリケーション、科学技術の倫理的、法的、社会的側面についても考えます。

例えば、生命科学では遺伝子組み換えの技術が進み、デザイナーベビーを作ることや、より速く走れる人間を作る技術は可能です。しかし、病気を治すための遺伝子技術は許容されても、人間の願望に沿った赤ちゃんを得るための遺伝子操作は果たして良いのかという問題もあります。

気候工学についても、オゾン層の破壊によって可能となった技術で大気を冷やすことができますが、その結果として一部の地域は気温が下がる一方で、他の地域では砂漠化が進むかもしれません。これらの倫理的側面も問題になっています。つまり、様々な分野の先端的な知見を活用することは可能ですが、やりすぎてしまうと問題が生じる可能性があります。

RRI(レスポンシブルリサーチ&イノベーション)という概念が2011年ごろからヨーロッパを中心に出てきました。これは、研究やイノベーションのプロセスに様々な人々が参加することが大切であるという概念です。例えば、情報技術系の会社やAI系の会社の人たちが、自分たちの事業においてどうやってRRIができるかを社内でワークショップを開き、問題を整理した後、それを市民に対しても開いて、自分たちの事業に他のステークホルダーの意見を反映するようにしています。

これはイタリアの海洋科学に関するプロジェクトで、サステナブルな海洋科研究がどうあるべきかというテーマで動いていました。観光客が多く入り込むことによって海洋資源が枯渇してしまう問題に対して、市民を含めた多様なステークホルダーが議論に参加することで、より良い海洋科学の・・・

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